『電子顕微鏡で見る紙の世界2』 気になるあの紙にもっと迫ってみよう -その7 ちょっと変わった紙の表面の比較 -ユポ/キュリアス-

電子顕微鏡で見る紙の世界2。今回が最終回となります。第七回目となる今回は「ちょっと変わった紙の表面の比較」ということで、当社で取扱いのある紙の中でも、見た目や製法の違いに特徴を持つユポキュリアスの表面写真をご紹介してみようと思います。


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ウルトラユポ 表面写真(上から300倍 3000倍)

ウルトラユポ
ポリプロピレン樹脂から作られたウルトラユポ。今回のシリーズでは《-その3 ちょっと変わった紙の断面の比較 -ユポ/キュリアス-》で断面写真をご紹介しましたが、今回は表面写真の拡大画像をご覧いただきます。
ユポがポリプロピレン樹脂を化学合成した合成紙であることは先のブログでもご紹介したとおりですが、表層に方向性があるため、紙で言うところの「目」の作用がもたらされていることが、今回の拡大画像で表されています。300倍の拡大写真ではわかりにくいかもしれませんが、3000倍の拡大写真だと極小の気泡(=ミクロボイド)が方向性を持って流れているのがおわかりいただけるかと思います。
この表層の方向性があることでユポは高い白色度と不透明感といった紙のような特性を持ち、優れた印刷性と筆記特性を併せ持った「紙を超える紙」として今日まで知られてきています。一方で引っ掻いたりしてキズが入ったとき、そのキズを表層の「目」に沿って引っ張るとユポは簡単に破断してしまう意外な一面もあるんです。そのため、角丸や折り加工などの後加工が大変難しいこともあり、当社ではユポでの折りや角丸などの後加工は行っていません。
もちろんキズのない状態のユポにはそんな心配はありませんが、ユポが持つ特性を知っていただきながらいろいろな印刷に使っていただければと思います。その知識のひとつにこの拡大画像もご参照いただければ幸いです。

 ※参考資料
  ユポの構造〈ユポ・コーポレーション〉
  http://japan.yupo.com/product/yupo/structure.html

 ※ユポ、ウルトラユポは株式会社ユポ・コーポレーションさまの登録商標です。



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キュリアス 表面写真(上から300倍 3000倍)

キュリアス
さまざまな紙を扱うグラフィックで、唯一透けて見える紙がこのキュリアス。当社では「トレーシングペーパー」の名称でおなじみの用紙なのですが、木材パルプが原料ではありますが、ゼラチン状になるまで叩解(こうかい)処理することで半透明化するということは前のブログでもご紹介したとおりです。前のブログではすき間のないキュリアスの断面写真をご紹介しましたが、表面を拡大するとどうなるか、それがこの画像です。
これを見る限り、木材パルプの繊維がほとんど原型をとどめず、叩解された繊維が溶けたような感じで層のように重なっているのがおわかりいただけるかと思います。
ただ、ここまで繊維が潰れてしまうと紙目もなくなるんじゃないかと思ったタケムラ。製紙メーカーさまに聞いたところ、キュリアスの場合でも紙を抄く場合はマシンの流れに平行に「流れ目」が出てくるため、こんな状態のパルプでも流れ方向に並んでしまうとのことでした。つまり紙目はあるんです。
他の木材パルプが原料の紙にはない、キュリアスのようなトレーシングペーパーだからこその特徴。表面写真からも感じていただければ幸いです。



電子顕微鏡で見る紙の世界、いかがでしたでしょうか?
一応今回で最終回とさせていただきます。また機会がありましたらこのようなブログを書いてみたいなと思います。ありがとうございましたm(__)m

※本画像は各製紙メーカーさまのご協力のもとに、本ブログ記事掲載についてのご了承を得た上で使用しております。したがって本画像の2次利用および無断利用については固くお断りいたします。またこの記事の文章におきましても、無断で転用することは固くお断りします。

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