『電子顕微鏡で見る紙の世界2』 気になるあの紙にもっと迫ってみよう -その3 ちょっと変わった紙の断面の比較 -ウルトラユポ/キュリアスTL-

第三回目となる今回は「ちょっと変わった紙の断面の比較」ということで、当社で取扱いのある紙の中でも、見た目や製法の違いに特徴を持つユポキュリアスの断面写真をご紹介してみようと思います。ちなみに断面写真のベースペーパー部分で灰色に見えているところが紙の繊維であり、黒く見えているところが繊維間のすき間になります。



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ウルトラユポ 断面写真(200倍)

ウルトラユポ
ポリプロピレン樹脂から作られたウルトラユポ。当社でも「ユポ紙」の名称でおなじみの用紙ですが、パッと見こそ紙っぽくみえるものの、木材パルプを原料にしていないことがこの断面写真を見ることで明らかになります。
ユポ紙は〈紙〉と銘打たれているものの、木材などのパルプを原料とした紙ではありません。ユポ紙の原料はポリプロピレン樹脂を化学合成した合成紙です。その製造方法を簡単に申し上げると、まずポリプロピレン樹脂を特殊な添加剤を使って極小の気泡(=ミクロボイド)を発生させて成膜します。ミクロボイドの層は縦横に対して引き延ばして生成される「基層」と横方向のみに引き延ばして生成される「表層」といった性質の違う層が、断面画像のようにそれぞれ貼り合わせてユポ紙が出来上がります。
ユポの基層と表層にはそれぞれ役割があります。基層はユポの強度や剛性などの面を受け持ち、表層は高い白色度と不透明感といった紙のような特性を受け持ちます。これによりユポは化学合成による合成紙でありながら、優れた印刷性と筆記特性を併せ持った「紙を超える紙」として今日まで知られてきているのです。ちなみに表層の生成方法による関係で、ユポには方向性があります。これが木材紙で言うところの「目」のような働きをユポに持たせてしまうわけなのですが、これは後日表面の拡大写真をご紹介した際にお話ししたいと思います。
ほかにもユポには
 ・耐水性がある
 ・引っ張りに強い
 ・平滑性が高い
 ・薬品や溶剤がかかっても劣化が少ない
 ・焼却しても塩素ガス等を発生しない
などの木材パルプの紙にはないさまざまなメリットがあります。
木材やパルプを原料としないユポの違った一面、断面写真からも感じていただければ幸いです。

 ※参考資料
  ユポの構造〈ユポ・コーポレーション〉
  http://japan.yupo.com/product/yupo/structure.html

 ※ユポ、ウルトラユポは株式会社ユポ・コーポレーションさまの登録商標です。


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キュリアス 断面写真(200倍)

キュリアス
さまざまな紙を扱うグラフィックで、唯一透けて見える紙がこのキュリアス。当社では「トレーシングペーパー」の名称でおなじみの用紙なのですが、何を原料にしているのか、不思議に思われる方も多いことでしょう。実は木材パルプが原料なのですが、断面写真をご覧になっても「どこがやねん??」と思われるかもしれません。ちょっと特殊な製法が行われているんです。
キュリアスの断面には今までの紙に見られたような、木材パルプの繊維が絡み合った状態が見られません。ほとんどすき間がない状態になっています。これはパルプの繊維を十分に叩解(こうかい)したものからこの紙が作られているというところに秘密があります。叩解とは文字通り叩いてつぶすことなのですが、木材パルプの繊維をゼラチン状になるまで十分に叩きつぶしていくと、抄紙した際に繊維間のすき間が埋まって半透明化するのです。ちなみにトレーシングペーパーの製造にはこのほかにも硫酸溶液などに浸すことで木材繊維をやわらかくする方法もあるようです。
単体での印刷はもとより、冊子などにはさみ込むとキュリアスのようなトレーシングペーパーはよりインパクトを増すことでしょう。他にはない、透けて見えるインパクトを持つキュリアスの秘密、断面写真からも感じていただけましたでしょうか。


電子顕微鏡で見る紙の世界、いかがでしたでしょうか? では次回をお楽しみにo(^∇^o)(o^∇^)o

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