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電子顕微鏡で見る紙の世界

2007年07月23日 ブックマークに追加する

『電子顕微鏡で見る紙の世界』
人気の紙に迫る! ~アラベール~

印刷というとまずは色について語られることが多いと思いますが、ベースとなる紙については特性が意外と語られる機会がないような気がします。印刷を行なうにあたって、紙は必要不可欠な存在です。当社でもたくさんの紙種を取り扱っていますが、昨年末よりブログで当社が取り扱っている紙をいろいろとご紹介する中で、色を語るのと同じくらいに紙についてももっと取り上げてもいいのでは、という思いが沸々とわいてきました。そして、もっとお客さまに紙のことを知っていただければと思い、当社で取り扱っている全ての紙種をブログで取り上げてみたのです。

そんな中、以前も書きましたが、タケムラは新入社員向けの講座で紙に関することを講義する機会がございました。講義の中でホワイトボードに紙の断面図を簡単に図示しながら説明する場面があったのですが、説得力に乏しいところもあり《写真で断面写真を実際に見せることができたら、もっと説得力あるやろうなぁ》と思うことがたびたびあったのです。

そんな思いを抱きながら、先日紙の問屋さんとお話しする中で紙の断面写真のことについて触れてみたところ「やってみましょう!」と快く引き受けていただき、製紙会社さまや紙の販売会社さまなどのご協力を得てこのたびの企画が実現いたしました。

断面写真の撮影および画像のご提供に快く応じていただきました株式会社竹尾さま、日清紡績株式会社さま、株式会社松村洋紙店さま(順不同)に、まずは厚くお礼申し上げます。

さて、前置きが長くなりましたが、今回から何度かに分けて、電子顕微鏡で撮影した紙の断面図を使いながらもっと深く取り上げてみたいと思います。まず1回目は、当社でも人気の高い『アラベール』の断面写真からご紹介してみようと思います。

紙表面に塗工処理が施されない非塗工紙のアラベールは、紙の表面にそれぞれの繊維が現れていることもあって少しゴツゴツしているのがおわかりいただけるかと思います。塗工処理されていない紙を触ったときに、少しザラッとした質感を感じることができるのは、このためなのです。紙表面がゴツゴツしている分、インキが乗ったところもゴツゴツ面にならって吸着されるので、平滑度が高く塗工されているコート紙と比較すると鮮やかさではかないませんが、反面彩度を抑えた落ち着いた仕上がりは、コート紙には真似のできない味わい深い雰囲気を醸し出します。

紙の断面写真をもう少し詳しく見てみましょう。灰色に見えているのが紙の繊維で、黒く見えているのがすき間です。紙の製造時にこのすき間を多く取ることによって紙を厚くすることができます。厚みがある紙のことを『嵩(かさ)がある』もしくは『嵩高(かさだか)』と言いますが、アラベールはコート紙などと比較すると、ほぼ同じ連量であっても約1.5倍ほどの厚みを持っており、紙のベース部分にすき間がある分、しなやかでやわらかい、ファインペーパーとしての独特な風合いを持った、嵩高な紙に仕上がっているのです。

電子顕微鏡で見る紙の世界、いかがでしたでしょうか? では次回をお楽しみに(^^)/~~~



◎見本写真
アラベール スノーホワイト130kg
☆連量はいずれも四六判換算です。

※本画像は株式会社竹尾さま、日清紡績株式会社さま、株式会社松村洋紙店さま(順不同)のご協力のもとに、本ブログ記事掲載についてのご了承を得た上で使用しております。したがって本画像の2次利用および無断利用については固くお断りいたします。


◎画像はクリックしていただくと拡大表示されます。

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2007年07月30日 ブックマークに追加する

『電子顕微鏡で見る紙の世界』
人気の紙に迫る! ~ケナフ100GA~

木材からパルプ生成されて製造される紙が大多数を占める中で、ケナフは成長が早いことや繊維量が多いことから、最近になって紙の原料として注目され始め、現在では非木材パルプの、環境に優しい紙ということで広く認知されるようになりました。当社で取り扱っている『ケナフ100GA』は、文字通り1年草のケナフを原材料として製造されている紙です。2回目の今回は、その風合いが当社でも人気の高い『ケナフ』の断面写真をご紹介してみようと思います。

アラベールと同様に、紙表面に塗工処理が施されない非塗工紙のケナフ100GAは、断面写真からもわかるように、紙の表面がゴツゴツしています。また白黒写真なのでよくわかりませんが、ケナフは紙を白く見せるための蛍光染料を使わないため、自然でナチュラルな色合いをしているところが大きな特徴です。

さらに詳しく見てみると、アラベールと同様、灰色に見えているのが紙の繊維で、黒く見えているのがすき間ですが、アラベールよりもややすき間が多いことがおわかりいただけるかと思います。そのため、ほぼ同じ連量でありながらもケナフはアラベールよりもやや嵩高な紙となります。

ケナフより紙を作ることに際して、コスト面など、様々な意見があるようですが、ケナフ紙の持つ素朴な風合いはデザイン面においてもいろいろな生かし方ができるような気がします。それはきっとデザイナーさまのデザイン心をくすぐるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

電子顕微鏡で見る紙の世界、いかがでしたか? では次回をお楽しみに(^^)/~~~


◎見本写真
ケナフGA100 135kg
☆連量はいずれも四六判換算です。
おことわり:当社でのケナフ紙の取扱いは四六判換算180kgのみとなります。

※本画像は株式会社竹尾さま、日清紡績株式会社さま、株式会社松村洋紙店さま(順不同)のご協力のもとに、本ブログ記事掲載についてのご了承を得た上で使用しております。したがって本画像の2次利用および無断利用については固くお断りいたします。


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『電子顕微鏡で見る紙の世界』人気の紙に迫る! ~アラベール~

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2007年08月06日 ブックマークに追加する

『電子顕微鏡で見る紙の世界』
人気の紙に迫る! ~ヴァンヌーボVG~

当社でも人気の高いヴァンヌーボには、いくつかのシリーズがありまして、

・印刷仕上がりを重視した、ダル系の「ヴァンヌーボV」
・風合いを重視した、マット系の「ヴァンヌーボF」
・不透明度を高めた、ダル系の「ヴァンヌーボAR」
・古紙70%配合で環境重視系の「ヴァンヌーボR」
・ヴァンヌーボFよりもさらにマットな仕上がりの、マット系の「ヴァンヌーボVM」
・ヴァンヌーボVよりもさらにグロス感のある、セミグロス系の「ヴァンヌーボVG」
の6種類がございます。

当社が取り扱っているヴァンヌーボVGは[VG=ビジュアル・グロス]の名が示す通り、ヴァンヌーボシリーズの中でも最もグロスな仕上がりが得られますが、同時にインキのセット性や印刷特性までも優れた一面を兼ね備えた紙でもあるのです。

また前置きが長くなりましたが、3回目の今回は、先ほどから何度も名前を出している『ヴァンヌーボVG』の断面写真をご紹介してみようと思います。

紙表面が少しゴツゴツしているので、一見すると非塗工紙のようにも見えるヴァンヌーボですが、断面写真にもあるように紙表面には塗工剤でコーティングされている層があります。また紙のベース部分は、先にご紹介したアラベールケナフと同様に嵩高なつくりの紙ですが、紙表面のざらつきに合わせてふんわりと塗工処理されています。そのせいか、コート紙のような艶やかさがヴァンヌーボにはありません。でもインキが乗った箇所の仕上がりは光沢感を帯びます。これこそヴァンヌーボVGの仕上がりの真骨頂なんです。販売店の竹尾さまではこれを『ラフ・グロス』と呼んで、その名前でカテゴリを設けて、ヴァンヌーボをはじめいくつかの種類のラフ・グロス系の紙を取り扱っておられます。
ちなみに当社で取り扱っているラフ・グロス系の紙には、ヴァンヌーボVGのほかに『Mr.B』がございます。Mr.Bもまた、当社ではヴァンヌーボVGと人気を二分するほど定評のある紙なんですよ (^^)

電子顕微鏡で見る紙の世界、いかがでしたでしょうか? では次回をお楽しみに(^^)/~~~


◎見本写真
ヴァンヌーボVG スノーホワイト135kg
☆連量はいずれも四六判換算です。

※本画像は株式会社竹尾さま、日清紡績株式会社さま、株式会社松村洋紙店さま(順不同)のご協力のもとに、本ブログ記事掲載についてのご了承を得た上で使用しております。したがって本画像の2次利用および無断利用については固くお断りいたします。


◎画像はクリックしていただくと拡大表示されます。


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『電子顕微鏡で見る紙の世界』人気の紙に迫る! ~アラベール~
『電子顕微鏡で見る紙の世界』人気の紙に迫る! ~ケナフ100GA~

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2007年08月23日 ブックマークに追加する

『電子顕微鏡で見る紙の世界』
これでも同じ135kgなんです。

以前、当店のサンプルをご請求いただいたお客さまより、こんなお問い合わせをいただきました。

「135kgって書いたサンプル紙がいくつか入ってますけど、厚みが違うのがたくさんありますよね。これって本当は厚い方が重いんじゃないんですか?」

確かに同じ連量であっても厚みがある紙と薄い紙を比較すると、嵩の厚い紙の方が重く思えても仕方ないかもしれません。でも、実際のところ抄紙(しょうし)工程(=紙を製造する工程)の違いによって紙の厚さやベース紙の密度の加減が変わってきますので、一概に「厚い紙=重い」とは言えないところもあります。また、「厚い紙=重い」といった思い込みが、「厚い紙=高価な紙」と言った間違った認識を生んでしまっているような気もします。では同じ連量なのにどうして厚みが違うのか、ということで、『電子顕微鏡で見る紙の世界』最終回の4回目ではコート紙上質紙の断面写真を比較しながら、その違いについて見てゆきたいと思います。

それぞれの紙で、灰色に見えているところが紙の繊維であり、黒く見えているところが繊維間のすき間になります。比較してみると、上質紙にはすき間がところどころに見られますが、コート紙には上質紙ほどのすき間の大きさがありません。これでも四六判で同じ135kgの連量の紙です。コート紙と上質紙の厚みが異なるのは、断面写真にも示す通り明白ですが、どうやらコート紙の方が紙の密度が高そうにも見えます。実はここに紙厚の差のヒミツが隠されているのです。

上質紙は非塗工紙なのでカレンダー処理が行われないのに対し(メーカーによってその工程は若干異なります)、コート紙は塗工処理を行った後に「スーパーカレンダー」と呼ばれるローラーに紙を通して、艶を出すべく磨きをかけます。その際、紙に強い圧力がかけられ、塗工面の平滑性が高まると同時にベース紙も圧縮。そうすると、紙の繊維間がつまった密度の高い紙ができあがります。このような抄紙工程の違いにより、同じ連量でありながら違う厚さの紙が生まれるのです。

また、塗工剤の量やスーパーカレンダーの長さによって紙表面の平滑性や紙厚が変わってくることを考えると、抄紙工程の段階でその分工程数が増えているわけなので、単に厚いだけの紙が値段も高いというわけではないこともおわかりいただけるかと思います。

さて、4回にわたってシリーズとしてお送りしてきた『電子顕微鏡で見る紙の世界』でしたが、いかがでしたでしょうか?紙に関する知識としてお役立ていただければ幸いです。機会がありましたらまたこのような企画をやってみたいと思っています。

◎ 見本写真
コート紙135kg、上質紙135kg
☆連量はいずれも四六判換算です。


◎画像はクリックしていただくと拡大表示されます。


【過去の記事一覧】
『電子顕微鏡で見る紙の世界』人気の紙に迫る! ~アラベール~
『電子顕微鏡で見る紙の世界』人気の紙に迫る! ~ケナフ100GA~
『電子顕微鏡で見る紙の世界』人気の紙に迫る! ~ヴァンヌーボVG~

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